影山智明 著
去年の11月ぐらいから転職しようがどうか迷っていましたが、この本を読んだら
益々転職したくなりました。
タイトルからもわかるように、企業と社員が利用し合う関係ではなく
お互いに支えあう関係であろうとする、まさに理想の企業です。
資本主義真っ只中の今、影山さんの考えている事は変わっているかもしれませんが
今生きている人たちは、この世界観を求めていると思った一冊です。
タイトルの「ゆっくり、いそげ」とは?
ラテン語で「festina lente(フェスティナ・レンテ)」を意味する。
この本では具体的な動作として「お店を訪ねてくれるくださるお一人お一人に
丁寧に向き合う事を積み重ねていった方が、長い目で見たら
近道ということは大いにある」を謳っている。
また、「のんびりやっていればいいということではない。
一つ一つ、一かき一かきには全力を尽くす」と補足もしている。
宣伝広告・キャンペーンで一時的にお客さんが訪れて、一時的に売り上げが上がっても
それを継続しなくては企業としては成り立たない。
それに、こうしたもので来てくれたお客さんがリピートしてくれる可能性は低い。
お店に行きたいという純粋な理由ではなく、「お得感」に釣られてきたお客さんは
次来る確率って低いですよね。
で、あれば、お店そのものをまずは体験してもらい、「また来たい」と思わせるような
サービスを提供する。
お客さんからの「また来たい」を引き出すために、従業員は一人のお客様に対して
全力を尽くす。
ただ、ここでの従業員の目的は、お客さんにお店で幸せな時間を過ごしてもらいたい
のが動機であることがポイントです。
営利目的で「また来たい」を引き出すためにやっているわけではない、って事です。
そうすると、一人のお客さんが新たなお客さんを連れてくる。
そして、新たなお客さんもお客さんを、、、が循環する。
著者がこの本で主張しているGive/Giveの関係がもたらす幸せの一つはこれだと思いました。
ものすごく現実化するのが難しいことを飄々と語る著者
私はクルミドコーヒーという名称自体、こちらの本を読んで知りました。
もう読んでる途中で、泣きそうになるんです。
実力社会、あまりに合理的なこの世界で、こんなにも人を大切にする
企業があったのかと。
本に書いてあることは、どの企業も理想とする形なのです。
ただ、実践するのが難しい。
一人一人のお客様に向き合って、それぞれのお客様が必要とするものを提案する。
しかし、ノルマだったり、経営が思うようにいかず売り上げが伸びていなくても
出来ますか?
まあ、難しいです。
ほとんどの企業と従業員は、この本で言うところの「利用する関係」に
位置すると思うのです。
では、著者の主張している関係とは何なのか?
それは、「支援し合う関係性」が重要と述べてます。
わかりやすい例で、会社も人もボランティア組織のようなもので構成されると
経営者も従業員もお互い幸せな関係でいられる、と言ってます。
そのためには、Take/Take(受取る)の関係ではなく、Give/Give(与える)の関係
を皆が意識しながら働く。
Give/Give(与える)の関係 って難しいよな~、と思ったんですよね。
自分のGiveできるモノが何なのかわからないと、Giveって出来ないですよね?
お仕事しながら見つけていくこともアリだと思いますが、
普段の生活でボーーーとして生きていたら、わからないし見つけられないと思うんです。
お店で働く中で、自発的に自分はこれが出来る、したいを見つける。
従業員には積極的Give精神を育んでもらう、従業員からの提案に対して
お店側は真剣に考え、企画化できるものはしていく。
そういう事なのかな、と思いました。
難しいと言ったのは、従業員と経営者の世界観が一致していないと
成り立たない関係だと思ったからです。
こちらは、4,000文字を超えてしまったので、2回に分けて書こうと思います。
今回、グッときた一言はこちら。
「カフェとは、水平と垂直の交わる場所である。」
ゆっくり、いそげ カフェからはじまる人を手段化しない経済


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