ソン・ウォンピョン氏の作品は2作目。
1冊目は「アーモンド」。感情のわからない少年の視点で書かれた小説なので
静かな文体と思っていたが、本作も静かな文体である。
エンタメ好きな私としては物足りなさも感じるが
心穏やかに読める小説だ。
(疲れているときは、感情が揺さぶられる本は疲れる、、、)
静かな文体ではあるが、内容も静かなものかといわれると
そうでもない。
男女4人のごっちゃまぜの関係を、よくこんな起伏をつけず
書けるな、と感心した。
作者の腕なのか、もともとそういう作風なのかは
「三十の反撃」を読んで判断するとしよう。
こんな人にお勧め
久しぶりに恋愛小説を読んだ。
人と人が出会わなければ、恋愛まで行きつかない。
恋愛は一人でするものではなく、相手があって成り立つものなのだ。
この当たり前の事実を改めて気づかせてくれた。
こんな方にこちらの書籍はおすすめです。
- 人と出会うってどうするんだっけ?
最近、「初めまして」を言った記憶がない方 - 付き合うってどういうきっかけでするんだっけ?の方
- 人を好きになるきっかけって何だろう?(なんだっけ?)の方
恋とか愛とか目に見えないものは、うつろいやすく、もろい
男女4人の出会いと別れ。
出会い方は人の数だけあるけれど、コロナの影響で出会いの方法の一つを
私たちは失ってしまった。
あなたは街で誰かに一目惚れするという、運命的な愛の機会を奪われているのだ。
プリズム
こちらは著者のあとがきの言葉。
常に家族がいるので、こういったロマンチックな事さえ
思い浮かばなかった。
(日常生活が生き抜くことで精いっぱいで、余裕がない)
評価
成熟度 ★★★★☆
恋愛度 ★★★★☆
面白度 ★★★☆☆
4人の男女が直接的に、間接的に知り合いで
その中で恋愛を繰り広げる。
人物の情報を小出しに読者に与え、
人間関係が徐々に明らかになっていく。
わたし、この手法、好きなのです。
上手くまとまったと思う恋愛は、ちょっとしたことで
疑いが生まれたり、興ざめしたり。
一つに集約したものが一瞬でバラバラになる人間関係のもろさ。
人の心は何がきっかけで変化を起こすかわからない。
人間関係は繊細でもろい。
だからこそ人は面白いし、むかつくし、楽しいし、悲しくなる。笑
